視覚障がいのある鈴木英行さんが、

弱視の生活について詳しく綴ってくださいました。

ご一読ください。

 枝垂桜  全盲の杉浦さん撮影
 枝垂桜  全盲の杉浦さん撮影

視覚障がい者とは

視覚障がい者は・全盲・弱視・夜盲・色弱など様々です。

弱視とは、わずかに見える程度から 強制視力がO3未満のものをいいます。

重度弱視 準盲 指数~0.04未満    軽度弱視 0.050.3未満

指数とは 光の明暗がわかる・目の前に手をかざして指の数がわかる事

見え方もそれぞれ、強度の近視、乱視 視野の中心だけ見える 視野の外側だけが見える視野狭窄 色弱 夜盲、その他 霞む 眩しい ドライアイ 二重に見え さまざまです。

視覚障がい者の 70%が 弱視が占めています。

その実態を十分理解されないのが現状です。

障害の種類や程度のよって 視力や視野、見え方に個人差があって 大変理解されにくいのです。

先天性の視覚障がい者以外にも

後天的に、ベーチェット病、網膜色素変性症、糖尿病、交通事故、視神経萎縮などの病気が あげられます。

その他、重複障がい者、視覚障がいと、脳性麻庫や肢体障がいなど、他の障がいと重なる人や、盲ろう者のように 多重障がい者がいます。

 

弱視の生活

弱視は、一人一人が その日のコンディションで まったく症状が変化するので、昨日見えていたのに 今日は見えなかったり 今出来たことが 次に出来なかったりします。

だから ウソをついているとか ごまかしているとか 気取ってるとか 威張ってるとか 誤解されたり、勘違いされたりします。

私も 調子の良い時は 自転車に乗りますが、全然 乗れないことも有ります。

住所氏名など 見えている日は 書くことが出来ますが、見えない時は 書けないのですが そのことが分かってもらえず、ずるいとか 甘えているとか、思われてしまいます。

読み書きは 一番 苦手なことで 困ることです。

中途失明者や強度の弱視の人は 介助者無しで外出することは困難で大変危険です

最近の電化製品や駅の券売機などタッチパネルになり 目で確認できないため、困っています。

 

人の認知

こんなことがありました。私が40歳の年の正月に 近所の社長さんに 「おまえは 新年の挨拶も出来ないのか」と 突然 叱られました。私はいつも 見えるような顔してるので、怒られましたが、弱視であることを道で会う人や 周りの人の 説明できないし「わかっていたら 挨拶しました」とも言えず、残念なことです。

弱視の私が たとえば スーパーで「こんにちは」と声をかけられた時、私の頭の中は この人は誰だろう、この声でこのスーパー、「あの人じゃない、この人でもない、いつ どこであった人、」アタマの中は消去法です。

鈴木さん加藤ですなんて 普通名前を名乗って話し掛けてくれる人はないですから 仕方ありませんが、わからなくて失礼になることは日常茶飯事です。

このような会合でも 上座の会長さんの席に会長さんがおられれば 会長さんとわかりご挨拶できますが、席を離れておられていて わからないと無視します。

声をかけられ わからないと「何この人は」つて 顔をするので ヒンシュクものです。

誰か わからないから 不安で誰を見てもニコニコしていると 変な奴って言われ、わからなくて何もしないと 無視したとかすましているとか 威張っているとか 人格までも誤解されて その事で 人間関係も難しくなることがあります。

 

買い物

スーパーなどで商品をー人でも探すとことは宝探しのようです。どちらかと言うと行き当たりばったり、金額も 8371を間違えたり 98円安いなあって思ったら 500が見えなかったり間違いだらけです。

靴下など 黒色と紺色がの間違いや、洋服や靴など サイズなどの表示が見えない事、自分で商品を棚から探してレジに持っていくシステムの店では 一人での買い物は無理です。店も大規模化したので 迷う事が多く 階段や床がデザイン優先になり 弱視には転倒などの危険がいっぱいです。

 

交通

駅やバスの料金表が見えないため 誰かに聞くと そこに書いてあるって 言われたり 変な奴とにらまれて 困ってしまいます。

道がわからなくても聞きにくく おろおろ きょろきょろ まるで不審者です。

歩道や道路が でこぼこだったり 歩道が広すぎるのは 車道との区別がつきにくく不安になったり 誘導ブロックが歩道の色と同系色でわからず使えなかったり、

交差点の誘導ブロックが複雑で 一歩離れたら誘導ブロックに戻れない。歩道橋の最後のー段の階段の色がわかりにくく落ちたり 車止めがわからなかったり、車止めの高さが ちょうど向う脛の高さで ぶっかると 相当痛い目にあいます。

色弱の人は 信号の色がわからないので 周りの車の動きとか ようすで判断しているので 信号が変わったばかりで車が動き出す寸前に渡るような危険な事もあります。日常生活での色に関する事での悩みは多々あると思います

夜盲の人は 昼間や明るい所での行動はできますが 暗い時間は見えないので 夜間や薄暗い場所でのひとり歩きは出来なくなります。

網膜色素変性症などの 進行性の病気の人は 晴眼者から弱視に やがて失明する、視力がだんだん落ちていく事の 精神的不安は 大変だと思います。

 

建物

トイレの表示が おしゃれになり 金と銀だったりマークがかわったり トイレの使い方もセンサーで 手をかざして流れるタイプは かざす所がわからないとか

点字の表示があっても 弱視には読めない、便座の温水等の表示が見えない事で使

えなかったりします。

階段や扉が多く 複雑な建物では 通路の案内表示や部屋の表示がわからないです。

 

人間関係

「この花 きれいですねっ。」て言ったら 

「この花見えてるのに どうして私がわからないっ?」て言われたり、

「ガラス曇ってますねっ。」て言ったら 

「どこまで見えるのか、見えんのかわからんっ。」て言われる。

同じ視覚障がい者同士でも わかりにくいのが弱視です。 

誤解から 仲間外れにされたり 人間関係が壊れ 取り返しができず地域社会で孤立してしまうようなこともあります。

 

弱視の心理

弱視は 障害が 分かってもらえないため 不安定な心理でいます。

・周囲の刺激に敏感で 大変刺激されやすい

・ささやかな事で 自我が傷つき 感情的になることもある

・喜びと ゆううつ、自愛と自己嫌悪、希望と絶望、うらはらな両極端な心理が 

行動に現れたりすることもある

・晴眼者に対する 劣等感と 全盲対する 優越感持つ

・できるだけ晴眼者としてふるまい 弱視を隠し 普通に見られたい

 

弱視としての 問題点

*弱視は 自分の障害の事を 理解してもらえない事が 一番困ること。

全盲者や盲導犬仕様の視覚障がい者のように 弱視は周囲に認知されない、

だから いつも びくびくしたり、わかったふりして ニコニコ顔だったりします。

知らない所に出かけるときなど 自杖を持っていると 困った時に周りの人に聞きやすかったり 教えてたりもらえるので 白杖を持つ弱視がいます。

 

*読み書きは もっとも苦手な事です 

読めなかったり 書けなかったりすることで 

差別的扱いされたり 劣る人と思われること 人格の否定的なこともあります。

弱視にとっては 劣等感で 困ることです。

 

*出かけるときなど 行動する時

独り歩きが出来たり 家族など周囲に 行動を共にしてくれる人は良いのですが

ガイドが無いため 断念したり 独り歩きでの 事故も多いです。

 

*プライバシーに関して 誰に頼むか

銀行の利用時にカードの暗証番号や通帳を内容、病院診察時の病気の事、役所の手続きなどで知られては困る事など プライバシーに関する大切な事柄の手続きを 誰かにお願いするのですが 誰にお願いするか困っています。

 

*中途失明者は・・・

生活全般 ・仕事のこと・歩行のこと・買い物・その他 すべてが困難になります

 

*弱視の児童は・・・

盲学校か 普通学校の選択が 大きな問題です。

 

*障がい者福祉に関しては・・・

障がい者年金制度で 弱視の場合 視覚障がい者3級以上の人が多く 

障がい者年金が無いため 生活に困窮する人もいます。

      枝垂桜全体  全盲の杉浦さん撮影
      枝垂桜全体  全盲の杉浦さん撮影